劇場公開時に惜しくも見逃してしまい、LDだけは確保したものの、ハードが買えないまま時代はDVD全盛に突入……待ち侘びたDVD化が漸く叶い、本当に嬉しい限りです。
物語そのものは、まさに「メルヘン」の一言です。金春智子さんの手慣れた脚本は、幼い子どもたちにも解りやすそうな素直でテンポの良い展開で、大人が見てもほのぼのと心地良く楽しむことが出来ますし、継母や姉たちの「その後」などは、数あるシンデレラ作品の中でも私の一番気に入った結末になっています。一見ごく他愛なさそうに映る夢物語が、年齢や性別を超えて人の心に与えてくれる不思議な温もりのようなものを、ふっと覚えて思わず微笑を漏らしてしまうような、そんな作品です。絵柄も可愛く、色彩も優しく、画面も明るく、また、サンリオのキャラクターたちがエキストラで出演しているのを見つける楽しみもあったりして、これならば、特別にキティちゃんのファンでない子でも、きっと熱心に見てくれそうな気がします。
そうして、私にとってのこの作品の何よりの魅力は、声の出演が極めて豪華なこと。何しろ、シンデレラが小山茉美さん、王子が塩沢兼人さん、継母が巴菁子さん、二人の姉が鵜飼るみ子さんと山田栄子さん、国王夫妻が矢田稔さんと達依久子さん、更に、侍従長が山寺宏一さん、使者が二又一成さん、告げ役が関俊彦さん、ナレーションと魔法使いが麻生美代子さん――小さい観客が相手だからこそ、敢えてこうしたベテラン揃いの配役を実現させ、質の高い仕上がりを目指されたものでしょう。そうした制作側の行き届いた心配りも感じられて、何とも楽しく幸せな気分になれます。
小さいお子さんをお持ちの方、心なごむ可愛いメルヘンがお好きな方、そして何より声優ファンの方に、是非お薦めしたい作品です。
ディスクには、この他に『キキとララの青い鳥』が収録されています。