もはや自分の中ではエリス・レジーナに匹敵するくらいの貫禄を感じるアドリアーナの2011年作。
前作「マレー」でも感じたのだが、近年の彼女の作品には迷いがない。
シンプルでカラッとしたサウンドに、気負った感じは全くなく、その作風は侘び寂びの境地に至ったかのようだ
前作同様、本作も決してコマーシャルなポップさはなく、パッと聴いた感じは地味なのだが、一つ一つの音の粒立ちの良さ、
そして音楽に対する迷いのない真摯な姿勢が、聴くものの心をハッとさせ、鷲掴みにしてくれる。
よりシンプルなサウンドメイクをして、どんどん研ぎ澄まさられていく様子は、まさに我が道を信じて妥協しない
彼女の音楽家としての信念なようなものをも感じさせてくれる。
最近は、一時期のボサノヴァブームもひと段落した感もあり、ブラジル音楽も少し日本人のリスナーから
一般的でなくなっているように感じるが、こうして着々と斬新かつ研ぎ澄まされた作品が
生まれていっているという事実も忘れてはならないと思う。
決して甘口ではなくピリリとしまったサウンドでありながら、一方でとめどない美しさが溢れ出ているのもさすがだ。