この5巻は、本ストーリーとは直接関係ない短編が集められている。中でも世界幻想文学大賞をコミックとして初めて受賞した「真夏の夜の夢」がすばらしい。僕はこれが「サンドマン」の最高傑作と思う。チャールズ・ヴェスの絵もかなり良くて、100年ほど前のイギリスの妖精画を思わせる。1巻の絵にがっかりした人もぜひ読んでほしい。
アメコミのほかの名作、たとえば『ウォッチメン』や『バットマン ダークナイト・リターンズ』が、有無を言わさぬ力技で読者を圧倒するのに比べ、「サンドマン」シリーズは面白さが微妙なので、読者を選ぶところがあるかもしれない。でも読み続けることで、その典雅な幻想世界から抜け出しがたく感じられるようになると思う。アメコミのファンより、ファンタジー小説のファンなら必読。