文春の「この夏読んでおきたい3冊」で某氏が紹介していたので、手にとって見た。
著者の玄侑宗久氏は臨済宗のお坊さんで芥川賞作家。
禅についてはいくつか読んだことがあるが、寡聞にして玄侑氏は今回が初めてである。
本書は、2003年から2005年頃に雑誌、新聞等に発表された
ごく短いエッセイを編んだものである。
テーマは「思想としての禅、宗教としての禅についての思索」であるが、
自身の具体的経験をベースに説いていくので、決して難しくはない。
いわんとすることは予備知識なしでもよくわかる。
「大愚」「両忘」「自他一如」「日日是好日」「放下」などの禅独特のタームも
わりあいよく説明されている。
ただ鈴木大拙の「禅とは何か」などと比べると、
思想としての禅を知るには物足りない。
境野勝悟氏の「禅の名問答に学ぶ人間学」ほどには、
実生活で生きる知恵におりてきていない。
悪い本ではないが、中途半端である。
僧侶として、思想家としての玄侑宗久氏から何かを学び取りたい、という目的なら、
他の著作をあたったほうがよさそうである。