何がすごいって、この緻密な世界観の構築。これ以上突っ込んで描写されると、しつこいし話の筋道が枝分かれして絡まってしまう…そんな物語はいろいろありますが、この物語は、大丈夫!必要な部分を必要なだけ書き込んであるので、「ハテナ?」箇所は流してオッケー。とにかく、読みやすく、何度読み返しても新鮮な物語です。実直な物語というものは、なかなか出会えないものです。もっといろんな人に読んでもらいたい〜っ!
人類VSヴァンパイアによる「ヴードゥー戦争」から、15年。抑え込まれたかに見えたヴァンパイアたち。
だが、それは人類の勝利ではなかったのです。
パン職人のサンシャインは、偶然にもヴァンパイアの内輪もめに巻き込まれてしまい、その結果、ヴァンパイアのコンと微妙な関係に(「上巻」)。
ヴァンパイアとの接触、魔物対策部隊への協力を経て、サンシャインは自分が魔法使いだということを意識していきます。
コンと連携してコンの宿敵であるボーに立ち向かう、サンシャイン。
舞台設定から、サンシャインの性格付け、コンの微妙な想い…すごい作品です。
「ヴァンパイアと戦う」物語は多々ありますが、ここまで独特の「戦いの手法」は初めてで、鮮烈でした。
しかも、物語は、サンシャインの一人称。
なのに、決して独りよがりではなく、ヴァンパイアであるコンの困惑や挙措をしっかりと描写しています。
いやあ、久々に満足、満足。
サンシャインとコンの、ロマンスのような、そうでないような、この微妙な匙加減もまた、ツボにはまりました。
これだけの舞台設定と、人物設定。お膳立ては超上々。そして謎は、てんこもり。この「サンシャイン&ヴァンパイア」の物語には必要ないであろうエピソードや説明不足の数々(→つまり、とてもスリムでスピーディに仕上がっている、という意味です。無駄のない、すばらしいバランス感覚の物語ということなのです!…って、ほめすぎ?)なら!作者のロビン・マッキンリィには是非!続編を書いてもらいたいものです。