本の帯に描かれた俳優たちの顔ぶれを見て、これは今までとは違う「サロメ」になるだろうな、と思いつつこの本を手に取りました。
今までの「サロメ」と言えば、「ファムファタール」のイメージが圧倒的です。
ところが、ここに写っているのは多部未華子です。
イメージ的には対極にあると思えるような配役です。
訳者は、平野啓一郎です。
読み始めると、何ともプレーンなシナリオです。
派手さがなく、ちょっと物足りなささえ感じてしまいます。
ところが、原文よりも長い解説の数々(平野啓一郎、田中裕介、宮本亜門)を読むと、その理由が書かれていました。
役者の演技を引き出す台詞と台詞の「間」を意識してのことと言うのです。
なるほど良いシナリオとは、そういうものかも知れません。
更に、作品以上に読み応えのある田中氏の「ワイルド論」です。
これを読むだけでも、この本を読んだ価値があるように思います。