多くの皆さんは、彼女のことを、奇跡の人「ヘレン・ケラー」の優秀な家庭教師としか認識していないでしょう。かく言う私もそうでした。ほとんどの「ヘレン・ケラー」伝記は、サリバン先生のことを多くは語っていませんから。
しかしこの本を読み、サリバン先生が、自身も目に重い障がいを持ちながら、過酷な少女時代を経験し、困難な状況にも負けずに学問を修め、三重苦の少女「ヘレン・ケラー」の家庭教師の道へと歩んでいったことを知りました。
特に、サリバン先生がヘレン・ケラーとの信頼関係を築いていく場面は、コミックの長所を存分に発揮しています。複数の障がいを持つ多重障がい者の心が置かれた環境や、言葉のみが障がい者の心を照らす唯一の光であることをとても丁寧に説明しており、子供達にも判り易い表現だと感じました。
しかし、子供用にと買ったこの本で、私が最も感動した点は、サリバン先生とヘレン・ケラーに対して、アメリカの多くの人たちが様々な形で手を差し伸べて二人を支援していたことです。その支援者の中には、アメリカを代表する大作家や発明家も含まれています。例え障がい者であっても、がんばれば教育を受けて社会に貢献出来る人間になれる、というアメリカ人の精神的なタフさと、社会のためにがんばる人を惜しみなく支援する古きよきアメリカ社会の懐の深さを見た思いがしました。小学生に「ノーマライゼーション」の考え方を教える良い教材だと感じた一冊です。