私は不動産会社の社員です。収益物件を顧客にご紹介する過程でお客さんの目線というものを理解するために市販の不動産投資本を過去60冊以上読み込んで参りました。
一口に不動産投資と言いましても「いろいろなジャンル・手法」があり、それぞれに一長一短あって予算や属性等で投資の戦略も正に「千差万別」であるのだと知れました。
ですが、そんな私でもひとつだけ「懐疑的な不動産投資の分野」というものがございます。それがズバリ「ワンルームマンション投資」です。
特に業者が電話営業で購入者を探して口説いて買わせている「新築ワンルームマンション」は投資という意味では全くペイしない商品であると言わざろう得ません。
大体、ホントに儲かる商品なら「すぐに売り切れ御免」ですよ。わざわざ電話営業のコストを掛けてまで素人の買い手を探すはずないではないですか。このレビューを読んだ方は決して新築ワンルームマンションなど購入しないように(資産家の方が「節税目的で購入する場合」を除く)して下さい。
では中古ワンルームマンションならどうかというと、これも甚だ怪しいとしか言えません。私が読み込んできた60冊以上の不動産投資本の中には「ワンルームマンション投資」に絞って書かれているものは5〜6冊ありました。そのほとんどが「将来の年金不足を補う目的での購入」を「金融機関から融資を引くこと」で勧めていました。
しかもそれらの本の著者は大きく分けて2タイプです。
・実際に中古ワンルームマンションを売る側・管理する側の業者の立場の人間
・自分で中古ワンルームマンション投資を実行していないのに実行を勧めている人間
これには正に「開いた口が塞がりませんがな(笑)」状態です。
ですので、いくら文中で投資を力説されても
「自分が実際に経営して収益を上げていないのに、何で人に勧められるの?」
「売る側の視点のあまりにも都合のいい論調での理屈が多過ぎる」
との疑問点が消えず、益々ワンルームマンション投資の危うさを認識するに至った次第です。
そして今回、この著者の本に突き当たった次第です。
最初は「他のワンルームマンション投資本と大差はないだろう」なんて考えていました。
ですが!違いました!
まず「著者は業者ではありません。昼間は普通に働くサラリーマン。つまりエンドの一般のお客様」ということになります。だから、そもそも論で「業者側の都合のいい売る側の視点」というものが皆無です。ここは大きなポイントです!
さらに著者は「ワンルームマンションばかり20戸以上を購入して経営をしており、年間の家賃収入は1,000万円を超える成果を上げています」
多くのワンルームマンション投資本ではほんの数戸を運営しただけで「成功した」などと喧伝されていますが、この著者はそんな「にわか成功者」とは異なります。
そもそもワンルームマンション投資は投資のスピードが遅く、資産を増やそうと考えるならば不向きです。ですので、最初はワンルームマンション投資から不動産投資を開始した多くの方も途中でそのことに気が付いて、一棟物件の投資に移行されている方が多いと思われ、「ワンルームばかりを数十戸も所有して運営されている方」は滅多にいらっしゃいません。だから、説得力のある経営の証拠を見せられる方自体がまずいないのです。その点においても著者は特筆であります。
さらに最も重要なポイントは著者が自身の成功の理由を
「物件を最初に現金一括買いしていること」であると述べている点です。
前述のように他のワンルーム投資本はほぼ確実に「融資を組んだ状態での購入を推奨しています」。実際に著者も最初の1戸目だけは融資を組んで購入していました。
ですが、当初見込んでいたキャッシュフローは
・空室期間の持ち出し(管理費・修繕積立金等)
・不意の大規模修繕の実施
・募集のための広告料他
・借入の金利の足枷
でアッサリと吹き飛び、持ち出しばかりになってしまったそうです。
この点を深く反省した著者は2戸目以降は全て「最初に現金一括買い」することを徹底。これにより「金利の重い足枷」が一切無くなって、劇的にキャッシュフローが改善したそうです。
これが「他のワンルームマンション投資本との内容の決定的な違い」になります。
この本の著者だけが「ワンルームマンション投資で成功した著者」と言っていいかと思われます。
ですので他のワンルームマンション投資本のような「自分に都合のいい想像だけの理屈を述べている(「我田引水」状態)なと感じるような箇所がありません。
ホントに不動産の素人から1歩1歩「中古ワンルームマンション投資」に絞って経営を突き詰めてきたんだな。ということが読んでいて判ります。
著者の購入している物件は20戸以上あるのですが、全て立地・最寄駅・購入価格・利回り等のデータを開示していて、実際に検証が可能です。これが非常に説得力があります。
例を挙げると購入しているマンションの最寄り駅は
・鷺宮
・池尻大橋
・三軒茶屋
・下北沢
・田園調布
・関内
等のいずれも都内の「立地がよく、人気のあるエリア」ばかりです。
他に地方で「福岡」「大阪」「京都」もあるものの、
都内は価格的に「500万円〜700万円台の物件」が大多数を占めます。
築年数は購入時点で「築15年〜19年前後」。
これは築15年まではワンルームマンションは価格の下落が激しく、15年過ぎから下落が緩やかになる点と、その頃に大規模修繕を迎える物件が多いことから売却しようとするオーナーが多く、市場に流通する物件が増える点を踏まえてです。
占有面積は「16平米〜20平米」で最新のニーズに比して狭めである点は否定出来ないのですが、その点は立地のよさでカバーして入居率は非常にいい。
そして利回りも「9%後半から13%くらいまで」。ほとんどの物件で10%を表面で超えています。
目安は月額家賃×100=物件価格だそうです。賃料の100倍の金額以下で購入しておけば「高値掴み」にはなる可能性が低いと申しています。
著者の凄いところは「物件の出口(将来的な売却)を意識して」投資したお金を何年で回収でき、その回収出来たときに自分は何歳になっていて、物件は築何年になっているのかを常に考えている点です。
これも今までに私が読んできた「ワンルームマンション投資本の著者には見られない傾向」であると言えます。
ワンルームマンション投資を勧める本は世に多くあれど・・・「まともな内容の本はほとんどない!」と断言できます。業者としての目線で見たら「それが顕著」。
その私が「初めてまともに読めるワンルームマンション投資本に出会った!」と興奮を隠せずレビューしている本です。
ワンルームマンション投資本で成功した人間とはどんな方?と問われれば、今までは「そんな方はいないんじゃないでしょうか」としか答えられませんでした。
ですが、今後は「この本の著者のような方ですね」と例示できそうです。
ワンルームマンション投資本の中で初めて(もしかしたら最後かも)★5つ付けさせていただきます。