全米ティーンを熱狂させた武士道精神みなぎるアクション・ラブ・ストーリー、サムライガール怒涛の完結編。アメリカLAで親に命令された意に染まぬ結婚式を正体不明の忍者に襲われてから長く逃亡生活を続けて来た光郷ヘヴンを巡る全ての謎が遂に本巻で解き明かされます。
ヘヴンは恋人ヒロと別れて忍者に襲われ重態のまま入院中の義父光郷古仁志の為におじ政人と共に日本へ帰国するが、義父に会いたいという願いを拒絶され続け仕方なく無為の生活を送っていた。やがてヘヴンは第六感に導かれ政人が悪人だと見抜き逃亡を図る。厳しい追手からの逃走に手を貸そうと再びヘヴンの前に現われたのは元恋人ヒロで、日本を脱出してアメリカへ彼女の産みの親を探しに行こうと誘う。
このシリーズは3分2の4巻ぐらいまでは武士道の師弟ヒロとヘヴンの古風なタイプのラブ・ストーリーで二人が多くの困難を乗り越えて結ばれるのが終着点だと思っていましたが、第5巻からどうも雲行きが怪しくなって来て遂に最終巻の本書で著者が隠して来た驚くべき真実のからくりが明かされます。本書を読み終えて忍者の部分はフィクションだとしても世界に悪名轟く日本ヤクザの醜悪な悪行の実態には驚きは少なかった物の十分にリアリティーを感じました。それにしても意外な真実が潜んでいたにせよ確かに強い愛が存在していたはずで、このある意味でドライな悲しい結末は残念で他に彼が救われる道がなかったのだろうかと少し不満が残りました。その割り切れなさを救うのがヘヴンの実母との出会いに続く幸福な生活の予感で、最後に現われた意外な味方の正体には著者の「真面目な奴だけが勝利者とは限らない」といった感じの少し辛口の人生哲学が反映されていそうで思わずニヤリとさせられます。小説の中では物語は完結せずまだまだ先が気になりますが、敵と味方を自ら判断し心のままに生きて行くヘヴンの力強い未来を予感させて幸福に幕を閉じます。