執拗に命を狙う謎の忍者集団に追われ、一途で切ない恋に悩み続けるサムライガール・ヘヴンの修行と成長を描くラヴ・アクション・シリーズ第4巻です。居候させてもらっていたLAの女友達シェリルの家が放火によって炎上する様子を呆然と見つめていたヘヴンは、かつての家庭教師ケイティを探してラスベガスへと旅立とうと決意する。内心引き止めてくれると思っていたヒロから意外にもあっさり「これはミッションだから」と別れを肯定する言葉を告げられたヘヴンは深く傷つきながら、やがてひとりで早朝四時のバスに乗り込む。
本書のヘヴンは、懐かしい親友ケイティと再会した喜びに浸りクラブで深夜まで酒を浴びる程飲みまくる完全な躁状態に陥ってしまい、油断して修行など疎かになりますので「強いサムライガール」を目指す道にとって逆行となるのはやや残念です。中盤からは元婚約者の雪村テディと出くわし、帰りに再び忍者に襲われたヘヴンはひとりで逃げる限界を痛感して彼との逃避行に踏み切る展開となります。過去にもヘヴンの危機を救った事のあるテディは、根は完全な悪党でなく人として優しい所もあり、真剣にヘヴンに惚れ込む純情な姿が何ともいじらしく思えます。そして本書の最大の見せ場は、終盤にヒロが遂に姿を現わしヘヴンとテディの間に割り込んで典型的な三角関係になりながら、まさしく昭和歌謡の名曲で郷ひろみの「よろしく哀愁」の歌詞「会えない時間が、愛育てるのさ」の様な心境に達して遂にヘヴンに愛を告白するラブ・ストーリーの王道的な感動の名場面でしょう。本書には今までずっと悩んで来たヘヴンがようやく幸せをつかむ最高の瞬間が描かれますが、それは同時に悪党達につけいる隙を与える心の緩みを招いてしまいます。本書はヘヴンにとって束の間の休息のようなご褒美の巻で、手にした幸せを確かな物にする為にも、もう一度厳しい闘争心を取り戻し反撃してくれる事を期待しましょう。