名作の映画化はほとんどが期待を裏切るものだが、本作は数少ない例外の一つだと思う。原作よりはるかに心に染みるし、また主人公のどちらにも共感できる。ひと夏の、それもたった1週間の間に燃え上がった恋で少女ミーガンの人生は大きく狂わされてしまう。それでもひたすらフランクを待ち続ける姿は涙を誘う。一方のフランクは偶然に再会した同級生の忠告もあり、旅先での一時の熱情から冷静になってみると、お互いの育ってきた環境の違いを考えざるを得ず、山だしのミーガンとは対照的な、自分と同じ階級に属し洗練され知的なステラに次第に心が移って行く。若者の恋はうつろい易いものだ。もっともそうなるまでには数々の不幸な偶然が重なるのだが、それもステラの言うように、「神の意思(Providence)」なのかも知れない。階級社会のイギリスでは、上流階級のフランクと農家の娘ミーガンが結婚するなど土台無理な話なのだ。
Oxford出の才媛Imogen Stubbsが可憐だが強い意志を持った「Imo」娘ミーガンを、モーリスで一躍ブレイクしたJames Wilbyが繊細で優柔不断なフランクを演じていて、どちらもこれ以上ないくらいの適役。
原作にはない衝撃のエンディングにまた涙。