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5つ星のうち 5.0
「救われる」映画です, 2008/12/7
レビュー対象商品: サマリア [DVD] (DVD)
どうもこの映画は、いろいろな見られ方をされているようですが、私は、痛ましさとともに、一方で、清々しい気持ちにさせられました。
父親は、援助交際によって娘が「変わってしまった」「穢れてしまった」と思い込んで悲痛な気持ちになり、報復という名の犯罪に至りますが、本当は、娘は何も変わっていないし、穢れてもいないのです。娘と二人で旅をすることで、そのことに気づいた父親が、自らのあやまちを認め、静かに娘をひとり立ちさせる。 ・・・私には、そういうストーリーに映りました。
現代人は、社会の中で、様々な有形無形のさまざまなトラブルを抱えて右往左往しています。はたから見ていると、それはばかげていたり、意味不明だったりするかもしれませんし、その過程で、死に至ったり、逆に犯罪を犯してしまったりすることもありえます。
でも、真剣に生きていない人なんて誰もいない。心が穢れてしまっているわけでもない。
みんな一生懸命で、右に左にハンドルを取られながらも、最後には、自分の力で、道を歩いていく。
この映画にこめられているのは、そうした、さ迷える人間達への応援歌ではないでしょうか?
現代人に対する、とても力強い、肯定的なメッセージを、私は、この映画から受け取りました。
援助交際をテーマにしたものだというようなことがジャケットに書かれているせいで、話がややこしくなっているように思います。
実際に見てみると、援助交際というのは単なるモチーフでしかありません。ジャケットのコピーに惑わされると、たしかに最後までチグハグな印象の映画になってしまうと思います。
人目をひくために、商業主義的な観点から、そうしたコピーがつけられているのでしょうか。
かくいう私も、まあ、私も援助交際という言葉に興をそそられて、作品を手に取ったのですが。
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5つ星のうち 4.0
流行の韓流映画とは、ひと味違います。, 2005/10/22
レビュー対象商品: サマリア [DVD] (DVD)
本当に、哀切でやりきれない物語だ。極めてセンセーショナルな題材を、冷徹な眼差しで見つめるキム・ギドクの演出力は、ベルリン映画祭銀熊賞に値するが、この厳しさと、残酷さは辛い。お互い、それぞれの「罪」を背負いながらの川べりのシーン、父は娘に自動車の教習を行う。まるで、自らが去った後の人生を、ひとりで歩んで行ける様に。しかし、ラスト、父を追いかける娘の運転が、ヨロヨロで、呆気なくスリップし、立ち往生してしまう時、彼女の将来に、不安で暗澹としたモノを感じてしまう。イ・オル、クァク・チミン、ともに、忘れえぬ名演。悲しい出来事が起こる以前の、ふたりの女高生の仲睦ましい日常を写し取ったカメラが、印象的だ。
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5つ星のうち 5.0
やり場の無い怒りが十分に表現された作品, 2006/11/11
レビュー対象商品: サマリア [DVD] (DVD)
娘の非道に怒る父親。やり場の無い怒りが充満され、刃は買春者へと向けられる。その行動に一瞬はすっきりする。しかしながら、この映画の本質はここに無い。
立ち直り正道に戻るにはどうすればよいのか。在るべき答えが見付からないまま、娘と一緒になって行き場に困る父親像がある。ここに家族のあるべき姿を見出すことになる。何が起こるかわからないが、事件は常に発生する。ややともすると後手にまわりやすく、このようなことは、取り扱う内容がどうであれ、どこでも事件に対峙する姿が発生しえるのではないか。
社会的問題を題材にしつつ、どんな場合でも助けあう家族の素晴らしさは生き死にを通り越している。すなわち、母親のお墓参りを通して浮かびあがるクライマックスに本質を感じるのだ。
題材は社会性が強いが本質は家族の絆にある。これが、単なる社会批判に終らぬ傑作たる所以である。最後に、キムギドク作品は情景も美しい。最後の癒しの旅では、美しい自然が与えてくれる普遍的な安心感を映し採っている。