リース会社でリース債権の証券化に携わり、証券会社・銀行にて証券化商品の組成に携わり、ムーディーズで証券化商品の格付け分析を経験した著者が書いた、「サブプライム問題」にちなんだ本です。サブプライム問題について語られている章は前半の2章であり、後半の3章は格付けの役割、証券化とは何か、日本の証券化市場の未来といった大きなテーマについて筆者の私見が述べられています。
さて、サブプライム問題の理解に必須な専門略語としてのHEL・RMBS・CDO・SIV、これらの相関関係を見事に表しているのがP20, 21の図表であります。個人的には、このページだけで十分もとがとれたと感じています。
「サブプライム住宅ローンは証券化(RMBSへの加工、一次加工)とRMBSをCDOへ再加工(再証券化、二次証券化)することにより、大半を高い格付けの証券化商品にしか手を出さない保守的な機関投資家に販売可能な金融商品に姿を変え、世界中に広く薄く散布された」ため、「リスクを誰がどれだけ負担しているのかについて世界中の金融監督当局やリサーチアナリストが調べても、正確にはわからない」というのが事実のようです。本書はスキームの説明から、格付けのモデルの説明と格付け批判に対する分析まで行っていますので、「サブプライム問題」の全貌が一定程度深いレベルでつかむことができます。
著者は冒頭で「本書は証券化に関するエッセイである」と書いていますが、エッセイから連想される気軽さはなく、専門的で十分に難易度の高い本だと思います。