登録情報
|
著者は、ブラッド・ピット主演の映画「ファイト・クラブ」の原作者。
その原作も、最高におもしろい。
そして、この「サバイバー」も、負けてない。
なんというか、内容について、チラッとでも話してしまうと、もったいない気がする。一から十まで、本のほうで完全に楽しんで欲しい。簡単に言うと、カルト教団の生き残りが、飛行機自殺をするまでの回想録、みたいな言い方になるのだが、それが・・・・・キーワードのみ列挙すると、ロブスター、ケースワーカー、命の電話、造花、予知能力、兄、殺し屋、支配??、エージェント、広報係、トイレの穴、祈祷書、奇跡・・・・これ以上は、言葉だけでも言いたくない。あなたの楽しみを奪いたくない。
「ファイト・クラブ」を読まれた方ならお分かりだろうが、無駄をそぎ落としたリズミカルな文体(池田訳は本作でも冴えている)、皮肉で気の利いた隠喩、コミカルかつ虚しさのある語り口、そして、階段に転がったラグビーボールのように、予測不能なバウンドをしながら転がり落ちていくストーリー。
もっと、もっともっと知られているべきだ。
1)なんらかの法則か規則で登場人物を縛る。
2)破滅的な言葉のリフレイン(繰り返し)
ではないだろうか。
破滅的な言葉の繰り返しは何度も出てくる。
例えばテンダー・ブランソンが“未来を見通す能力を持つ少女”ファーティリティーをトイレの個室で待つ間、壁中に書かれた落書きをひとつひとつつぶさに描写していく。
例えば電話相談室に成りすました彼の元へかかってくる様々な相談への返答「死ねばいい」のリフレイン。
チャック・パラニュークの作品にはちょうど、アルコールが身体を巡って酩酊し、気持ち良くなってきたときのなんともいえない感覚があるような気がする。
経験はないのだがドラッグをやってハイになった状態というのだろうか、瞳孔が開き、身体に満ちる万能感、持て余した行き場のない暴力的な衝動とか。
ミニマルミュージックのとめどない繰り返しがもたらすトランス感覚に似ているのかもしれない。
一定のリズムが何度も何度も繰り返され、脳のどこか一部がだんだんと溶けていくような刺激、落ちていくような、または水面すれすれに浮いているような感覚。
おそらくチャック・パラニュークがこの物語で綴りたい事はおそろしく単純なことではないか。
それは『破滅』に向って人生は進むということ。
未来を見通す夢を見る少女ファーティリティーの予見する夢の中身はことごとく破滅についてのものばかりで、しかも防ぎようはない。
母と兄も同じような能力を持っていたゆえに、自殺したという。
破滅を予見する能力を持ったがゆえの、破滅。
ファーティリティーに生殖機能が備わっていないというのも、彼女の中で生命の連鎖の鎖を断ち切られているということで、彼女がこの物語の中で破滅そのものの象徴的な存在となっているのかもしれない。
デイビッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演の... 続きを読む
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|