ギリヤーク人に関するレビューが多いので、私は別の視点でレビューを書いてみる。この本の醍醐味はチェーホフの徹底した調査と考察にある。サハリン島各地の様子が手に取るように分かる。ただ、100年以上前のことなので、現在の様子がどうなっているかも知りたくなる。
ギリヤーク人の描写も興味深いが、アイヌ人の描写も興味深い。日本人のアイヌ人に対する評価よりも辛口だと思う。日本人から見たアイヌ人評価は、先住民を支配してきた背景もあり、また人種差別をしてきた後ろめたさもありアイヌ人というだけで過大評価をしてしまうのかも知れない。
例えば「アイヌは決して身体を洗わないし、寝る時も服をぬがない。」これは西洋文明が発達した側から見れば不衛生と映るのだろう。ただ一方で、古代から人間はどの程度身体を洗ってきたのかを考えると、決して正しい評価だとは断言できないだろう。
ロシア人から見た日本人評価も興味深いものがある。日本人の人の良さが強調されている。日本人とのやりとりは領土問題を絡めて描写されている。1867年にサハリン島がロシアと日本の共有になった経緯、また1875年にはサハリン島がロシア領となった際に千島列島が日本領となったことが分かる。
今まで「地図の上でロシアと北海道の間にある島」くらいの印象しかなかったが、サハリン島がぐっと身近な存在として心に迫ってくる。