フェリー二です。奇抜です。醜いです。しかし圧倒されます。
古代ローマを舞台にエンコルピオという青年の冒険を通して描かれる、赤裸々な欲望と肉欲と奔放と空しさの絵巻。どこからともなく湧き出てくる快楽を求める人々のデカダンス炸裂の描写が凄まじい。インドのバラモン教的絵画、バリ島の伝統舞踊ケチャックダンスの合唱、古代西アジア的儀礼、アフリカの民族音楽の使用など、西欧文化にこだわらず古代的なものや前近代的なものをすべてミックスした異郷の香りふんぷんたる雰囲気作りとそれにまつわる創意工夫が面白い。
ビスタサイズの大画面をあますところなく使いきり、それぞれのシーンが完璧にフレーミングされている画面構成はどこを切り取っても絵画的に完成度が高いところはさすが映像の申し子フェリーニ。また、随所に配された、太りきった人々、ならびに身体的な特徴が際立った人々の登場がフェリーニが愛した人の世の多様性をいやがうえでもかもし出し、これが作家の映画であることをことさら強調します。
あえて難を言えば、演技に特筆すべきところが無かったこと、全体のストーリーにもう少しなめらかな連動性がほしかったところが挙げられるでしょうか。こうしたあたりが強化されていればさらに優れた作家的抒事詩に成りえたのではないかと思える作品です。
演技の巧みさやストーリーを堪能するのではなく、あふれ出てくるエネルギーを浴び、映像の魔術に圧倒される作品としては記憶に残る一本です。