高橋悠治氏によるエリック・サティのピアノ作品の傑作演奏CD。
同氏によるケージやバッハの演奏と同じく、この演奏も甘い感傷が排された
ストイックで硬質な印象。このうえなく美しい演奏なのだが、同時にどこか
異質で、その分サティの作品に内在する実存への不安の感情がむき出しに
伝わってくる。
もともとサティの作品には仄かな”死”を想起させる印象を感じていたが
この演奏ではその傾向が顕著であると思う。
もっとも其々の曲はこの上なく美しく、さながら生物を透明に加工して
展示する”透明標本”のように、静物として固定された死を観賞するような
ヒヤリとした印象を受け、特異な感性を刺激される。
オブジェとしての透明標本についてはこちらもご参照を。
透明な沈黙透明標本を題材にしたこちらの小説も興味深い。
星への旅 (新潮文庫)