丁寧かつ実用的な教則本を次々と世に送り出す渡辺具義氏の新著です。今回は少し趣を変えて、サックス奏者の加度克紘氏発案のサックスフレーズ集をギター用に置き換えたものとなっています。
コードというものを基本に置く一般的な音楽(ジャズ、ロック、ポップ、フュージョン等)では、そのコードのアルペジオ、またはアルペジオにテンションを加えていった所謂スケールというものを中心にソロプレイを組み立てていきます。
しかし楽器ごとの癖から、弾きやすいフレーズ、吹きやすいフレーズというのがあるため、ギターならギターらしいフレーズが中心のプレイになりがちです。それがその楽器らしさを演出するのですが、反面ワンパターンに陥りやすいともいえます。
本書はギタープレイヤーのフレーズに対するアプローチに新たなアイデアを加えてくれます。同じアルペジオ、スケールを使ってもサックスでプレイすると、何故か雰囲気が違って聞こえることがありますが、それらはサックス独自の運指からくるフレーズであったり、アーティキュレーション(ニュアンス,強弱)であったりする為です。そのアイデアをギターに流用させるのが本書の狙いです。
本書では著名サックス奏者のプレイをギターで置き換えたフレーズが100個程度収められています。それぞれに運指が3通り(一つはオクターブ上)付属されており、またそのコードとフレーズの理論的背景、運指上の注意点も丁寧に解説されております。(この丁寧さが今までの教則本では殆ど無かった点!)
特にサックスフレーズらしさの元になるパッシング/ターゲットノートへのアプローチは、ギタリストには新鮮なのではないでしょうか?(ちなみにマイクスターンやアレンハインズもサックス奏者のプレイをたくさん採譜したそうです。)
付属のCDでは、多くの著名サックス奏者のフレーズをサックスで再現→ギターで後追いという風に順番に収録されており、音でも確認ができるようになっています。
氏の他の著書でも繰り返し述べられている指板読解力の向上にも役立ち、指板をまた違った視点から見ることができるようになると思います。
迷うことなく名著です。