元サッカーダイジェスト編集長が書いた「戦術本」。
5人の識者への取材を元にしたルポが軸になっているが、日本人の「戦術好き」の起源を98年仏W杯予選に求めたり、近年の「戦術本」ブームを分析してみたりと、芸が細かい。
5人の識者とは、湯浅健二、山本昌邦、名良橋晃、原博実、風間八宏。
それぞれから「戦術論」を引き出すと共に、磐田、鹿島、FC東京、筑波大、といった「実例」を提示。
単なるリクツだけではなく、この実例が説得力があり、かつ面白い。
「伝説の世界」(例えば、クライフのトータルフットボール)や「海の向こうの出来事」(例えば、欧州サッカー)に比べれば「手の届くところ」での戦術論。
ココにこそ、本書が「戦術論のための戦術論」になっていない「実践と繋がった戦術論」たり得ている所以がある。
とはいえ、各章の間には、「システムの変遷」というコラム。
「歴史好き」への配慮も忘れていません。
結局、本書を通じて著者が言いたいのは、「勝利の第一条件はシステムではなく個人戦術だ」ということ。
それって、本書の副題じゃねえか!?
書名はどーしよーもないが、近年の「ブーム本」の中では出色の出来。■