日本サッカー育ての親、デットマール・クラマーは言った。得点を取るにはフォワードの素質が必要だが、守備は教えられるし、鍛えることができると。日本代表の試合を見ていると、まだまだ守備力を高めていく必要を感じる。決定力不足を嘆く前に、まずできることから手をつけていくべきだろう。
この本では、1対1の守備力の重要性が指摘されている。しかし、どうしても日本は1対1の場面ではヨーロッパや南米の選手にはかなわない。だからこそ、組織的な守備をもっと磨いていかねばならない。とは言え、1対1の場面は試合の中で必ずと言っていいほど出てくる。クラマーの言葉が正しければ、ヨーロッパなどの選手に対しても日本人が互角の守備ができるということになる。それだけでも、世界と戦うには十分な武器である。
著者はこの本の中で、守備の重要性を説く。それは当たり前なのだが、イタリアやギリシャのサッカーは見ていて面白くない。もちろん、日本がW杯で上位に食いこむためにはギリシャのような堅守速攻のチームを作るというのもひとつの選択肢ではある。しかし、いつか日本が世界の強豪になったときは、やはりオランダのような攻撃的なサッカーを目指してほしい。1-0で勝つより、2-3で負けるほうが美しいとオランダ人は言う。日本も、そういう見ていて面白いサッカーをしてほしい。まだ今の段階では、結果を出すことで精一杯だが。
選手か監督でもなければ、あまり夢中になって読むような本ではない。技術的な説明が多いのだ。しかし、この本を読むことで、地味でこれまで興味を持てなかった人も、ディフェンスをちょっと違った視点で見られるようになるだろう。