サッカーにはろくな思い出がありません。学校の授業ではあまりに下手くそなためサッカー部員に罵倒されどおしでした。これはサッカーに対するイメージを決定的に悪くしました。
とはいえ、そのような個人的な事情でサッカーそのものをくだらないものと決め付けるのはあまりに飛躍しすぎですし、だからサッカーが嫌いだ、と世間に公言しようものならたちまち変人扱いされるでしょう。男性がみんなと楽しく生きようと思うなら、芸術など分からなくてもいいが、少なくともサッカーを見て楽しめるぐらいにはなっておいたほうがいいのです。
この本は宮台真司著『1冊で1000冊』に「サッカー無知が治った本」として紹介されています。世界や日本におけるサッカーの現状、戦術に焦点を絞った観戦術等痒いところに手が届く懇切さ、と高く評価されています。
確かに、商業主義に組み込まれてサッカーそのものの面白みが失われつつある現状や、企業の論理で存亡の危機にある日本のサッカークラブ等についてはよく説明されています。
しかし、私が欲しい情報は「戦術に焦点を絞った観戦術」でした。ここのところはもう少し突っ込んだ説明がほしかった。イングランドやイタリアのチームの戦術的発想については少し述べられていますが、それならば「××年の××対○○の試合」など参考となるビデオなりDVDなりの情報を載せてほしい、というところでした。この点では必ずしも痒いところに手が届くものではありませんでした。
また、日本サッカーが伸びるためには、横並びでリスクを負いたがらない日本人の集団主義を改めることが必要だ、と述べられています。しかし、こうした考え方の行き着くところは、一握りの勝者とその他大勢の絶望した敗者、という社会です。著者の非常に無邪気な社会観には首を傾げざるを得ない。