本書はスペイン語の教科書ではない。だからこれでスペイン語をうまくなろうと思ってはいけない。それなら価値はないか?いや、こういう本こそ外国語の学習には必要だ。
題名が示す通り、本書はサッカー関係のスペイン語だけを扱っている(最後に簡単な文法解説が出ているが付録程度と思った方が良い)。著者の経歴を反映して、スペインとアルゼンチンのスペイン語となっている。用語以外はそんなに難しいところはないが、さらりとDe que’ hincha sos?なんて文章(アルゼンチンのvoseo)が入っていて、うっと唸ってしまう。
発音はカタカナだけ、文章も本当に簡単なものしかない。繰り返すが、これは教科書ではない。でも、本書を読んで感じるのは著者のサッカーとスペイン語への愛情である。しかも、プロではないスペイン語に対しては著者はとても謙虚である。「ラテンアメリカのスペイン語」と言わず「アルゼンチンの」としていることは著者が自分がやっていることを分かっている証拠である。
この本を見ていると「何のために外国語を勉強するのか」「何を目標とするのか」を考えさせられる。ネイティブ・スピーカーと同じように話したい等ということが如何に小さな目標かと分かる。
サッカーの大ファンでなくても、スペイン語を勉強する人は一度目を通すといい。さて、スペイン語の先生は「スペイン語を愛する人のサッカー」(別にサッカーでなくても良いんですが)が書けるだろうか。