サッカーの「敵」とは何だろう?
22カ国を取材したこのルポには、「明るく楽しい良い子のサッカー」は出てこない。
むしろ、下世話で空しい、けれど(残念ながら?)サッカーと切っても切れない腐れ縁で結ばれた俗物たちが主人公である。
事象、政治、経済、民族、人種、宗教、軍部、社会階層、対立、差別、腐敗、賄賂、貧困etc.これらがサッカーの「敵」なのだろうか?
英国人の著者がいかにも英国人らしく?辛辣に、皮肉に、そしてユーモラスに綴ったそれらの事象は、サッカーの「敵」というよりもむしろ、あまりにも「サッカー的」なるモノという気がする。
「敵」はむしろ、のーてんきにもイノセントにサッカーを「愛する」とのたまう「良心的サッカーファン」だったりして。純粋さ、健全さ、汚れのなさ、無私の心、いずれも「サッカー的」の対極にあるコトバたちじゃありません?そして日本では結構そういう「サッカー観」が支配的です。
本書はいわゆる「内幕もの」に分類されるのだろうが、その叙述をたっぷり楽しむにはサッカーに関する知識のみならず、背景にある対象地域の歴史や社会、文化などについての理解が必要である。
その意味では本書は単なる暴露本とは一線を画すし、また、繰返し読むことに耐えうる、いやむしろ読み返すことによってより楽しみが見出せる類の本だと思います。