本書はスイスの環境対策について、エネルギー、建築、交通の3点から紹介した本です。
スイスは豊富な水力を使っての水力発電が盛んですが、これに風力や太陽光、バイオマスを加え、多様なエネルギー源を整備しつつあります。しかし技術的な問題とあわせて経済的な解決もスイスは上手で、再生可能電力の原価保証買い取り制度やグリーン電力証書によるエコ電力の選択購入など、市場を通して再生可能エネルギーを普及させる手法が発達しています。
建築分野は驚くほど発達しており、年間20lの灯油が必要だった住宅が法基準で現在9l、技術的には4lまで可能になっています。高気密高断熱、熱交換システム、木質バイオマスやパッシブソーラーなどを使って、健康にもよく、経済的にも高パフォーマンスを実現しており、日本の立ち遅れを痛感しました。また、交通分野も高い鉄道利用率やカーシェアリング、モーダルシフトなど多くの先進事例があります。
しかし本書はスイスのうまく行っていない事例も公平に紹介しており、それが逆に大いに参考になります。エネルギー業界の強い反発によって化石エネルギーへの課税が進んでいないこと、市民が大型の自動車を好むことなど、意外と遅れている面もあります。住民投票や地域での話し合い、対立など、その歩みの変遷も紹介されていて、日本での検討・導入の際に参考になると思います。