本書のタイトルに「サザビーズ」という有名オークション会社の名前が使われていますが、「サザビーズ」がテーマではありません。また、「仕事術」と言う言葉が使われているのでビジネス本のように見えますが、そうでもありません。『「豊かさ」を「幸せ」に変える』事についても記述が弱いこの本の正体は、サザビーズ日本支社長である著者の自叙伝です。
ニューヨークでのオークションの模様を描写したくだりは面白いのですが、サザビーズのビジネスやそこで働く人に関する記述は就活学生向けの「サザビーズ会社案内」(と言うものは実在しないとおもいますが)の範囲に留まっています。苦笑いしたのは、美術ビジネスとは全くと言って関係がない「財界総理」と言われた祖父の石坂泰三氏のことを、丸ごと一節(見出しの項目)を割いて記している事です。(このズレは安部晋三元総理に感じたのと同じ感覚だなぁ、と思ったりして。)
素直な文章で読みやすく内容もそこそこ面白いのですが、タイトルと内容が合って居らず、最初から自叙伝と思って読まないと肩すかしを食らいます。その自叙伝も普通に成功したビジネスマンならば誰でも持っているなもので、これと言ってすごい物語がこの本にあるわけではありません。