7世紀中旬の欧州キリスト教事情を背景に、アイルランドから、権謀渦巻くローマに送り込まれた美貌の修道女と来ると、魅力的でない訳がない。単純と思われた事件も、探るほどに、複雑怪奇で、現代ミステリらしく、解決への道は、十二分に紆余曲折。作者は、歴史学者とのことで、時の、習俗、儀礼、史実にも明るく、雑学的なれども、少し勉強した気分にもなれる。訳注も、どっさり付録していて、読むほどに、結構楽しめる。
星一つ分の不満としては、本作は、このシリーズの長編第2作とのことで、聊か、肩に力が入ったのか、凝り過ぎた部分の解決プロセスが、少々脆弱で、また、主人公を持ち上げる努力が、脇役の魅力を霞ませ、為に、主人公の魅力まで、翳らせている部分が散見されるのが、残念。既訳の4作目、5作目や、短編での主人公のほうが、輝いているとは思う。
とはいえ、まだ、長編が、10作以上未訳とのことなので、早く次の翻訳を読みたいと期待が更に膨らんでいるところ。