大塚明は不器用な人だ。
いやいや、エフェクター製作に関してではない。
生き方が不器用な人だと思う。
様々な業界に迎合して媚び諂っていれば
多分もっと有名になっていただろうし
もっといい生活をしていたかも知れない。
だが、氏はそんな物を求めているとは到底思えない。
ダメな物はハッキリ「ダメ」と言い切る。
だから時に人とぶつかり合い傷を負う。
しかし氏は曲げない。「信念の人」なのだ。
そして誰よりも「優しい人」だ。
製作にチャレンジしようという者を
見守る優しさに溢れている。
その姿勢は20年前の文章からも読み取れた。
そしてそれは本書でも変わりない。
20年も経てば製作記事に影響を受けてエフェクター
ビルダーになったり、楽器メーカーに就職した様な人も
多いだろう。
添えられた文章に影響を受けて物書きになった
人もきっといる筈だ。
私も一面識も無いにも関わらず多大な影響を受けてしまった一人だ。
「考え方」や「物の見かた」「生き方」という点で。
まったく困ったものだ。
本書は20年前からの大塚スタイルを崩す事なく
文章も楽しめる。
本が売れない時代だから予算の都合もあったろう、
表紙は地味な2色刷りで、とっつき難い
専門書の様だが、中身は堅苦しい物ではない。
少しはチャラついたポップな表紙にすればいいのに、
まったく不器用な人だ。
(ソフトカバーは要らなかったかも!)
「理論なんて後回し、まず作ってみよう!」というのが
本書のスタイル。エフェクター製作の経験が浅い人でも
気軽に挑戦して欲しい。
ひょっとすると君の人生が変わってしまうかも知れないが。(笑)
願わくば....少し文字数が多いので息抜きで
「ハーイ!フリーク!」「ハーイ!フレンド!」と
珍品堂と懐古軒の会話とイラストも欲しかったが仕方ない。
久しぶりに秋葉原へでも行ってみようか。
20年前には存在していなかった息子を連れて。