トラップ・ファミリーの辿った歴史をなぞりながら、それぞれの時代の家族のスナップを中心に、コンサート活動や旅行中の貴重な記録としての写真がA4判大の本書に満載されている。読み物としてではなく、あくまでも視覚に訴える写真集である為に、特に家族のあり方や幸福について論じた部分があるわけではないが、彼らの強い家族愛と結束はこれらの写真からも明らかだ。勿論トラップ家のストーリーを詳しく知るにはマリアの自叙伝『サウンド・オブ・ミュージック』や長女アガーテの書いた『私のサウンド・オブ・ミュージック』を併読するに越したことはないが、この大家族の稀にみる団結と波乱万丈の歴史を振り返ることは、現代に生きる私達にとっても意義深いものがある。またこの本を手にすることによって『菩提樹』や『サウンド・オブ・ミュージック』などの映画化を思いついた当時の映画制作者のアイデアを容易にイメージできる。ザルツブルク時代の彼らが実際に所有していた屋敷は映画顔負けの立派なものだし、その地の自然風景はことさら美しい。またアメリカ渡航以降の、まさに大陸横断コンサートの足跡を追った資料としても興味深い。彼らのファミリー・コーラスは1956年を最後に解散になったが、欲を言えば次男ヴェルナーの4人の孫達によって結成された現在活躍中のコーラス・グループ『ザ・フォン・トラップ・チルドレン』の写真を追加掲載したなら、より完璧なトラップ家のアルバムになるだろう。