「ヒート・アイランド」「ギャングスター・レッスン」の続編だが、この「サウダージ」が最も良かった。
この作品でのアキ(シリーズを通しての主人公)は、ハードボイルド的な男としては描かれていない。どちらかと言えば、恋に悩む普通の男として描かれている。しかし、アキはまだ20歳そこそこだ。ストリートギャングあがりで修羅場をくぐっていたとしても、いくら強がってもまだ若い。恋にも悩むし、柿沢・桃井と仕事にブルッたりもする。
この作品は、アキが本物のギャングになるための内面的な葛藤が一つの主題になっていると感じた。
前作は、アキがストリートギャングから本物のギャングへ成長する過程を作品にしたという意味合いで「ギャングスター・レッスン」というタイトルがつけられたのだと思うが、その内容は車や銃などの道具類あるいは心構えみたいなものに偏っていた。アキもそれに悩む暇もなかった。道具類の描写に費やす字数も頁数も多かった。まぁ、そこがハードボイルド的だといってしまえばそれまでだが・・・。たしかに、そういった要素も含めてレッスンなのだが、アキの内面は殆んど描かれていなかったのは間違いない。
しかし、この作品でのアキは普通に悩むし、怖れもする。ギャング稼業への戸惑いも感じる。そして、この作品にはそんなアキの姿を映す鏡のような存在がいる。もう一人の主人公ともいえる「耕一」だ。
アキと和子、耕一とDDを中心としてストーリが展開するこの作品。前作と合わせて本当に意味での「ギャンスター・レッスン」といえるのではなかろうか。
いまでも、前作「ギャングスター・レッスン」は好きになれない(レビューもしたけど☆×2)が、この「サウダージ」を読んだ今では、必要な作品だったのかな、という気もしている。