著者の語り口と、「旅」の途中で出会い、語らい、ともに食し飲む人々がとても暖かい。
とりわけ「壺屋のおばちゃん」は、口が悪く偏屈なところもあるがとても魅力的で、おばちゃんがつくる沖縄料理は本当においしそうだ。
「異文化を理解する」ことが大事だということは誰もが知っていることだろう。おそらく著者は、その問いに無理に答えを出そうとせず、ちょっと待って、異文化とは何か、理解するとはどういうことなのか、を自分に問い続けるのではないか。そういう誠実さをもっている人物に思える。
自分の感情を決してあからさまに表現せず、自分が「異物」であるという自覚のもとに一定の距離をとって書いている。
しかしその控えめな中にも、自分のルーツや土地の歴史を強く見つめている姿勢に、今後も読んで生きたいと思わせる力がある一冊だ。
一定の土地を足場にして書く作家もいるが、著者の足場は海で繋がれた島であり、旅なのだ。