05年に刊行された単行本を,文庫化して分冊した下巻です.
舞台は上巻の東京から沖縄へ.下巻はその移動からはじまるのですが,
上巻との『分かれ目』がスッキリしていて,スムーズに入っていけます.
不慣れな生活や風習,自然に一喜一憂しながら過ごす少年の姿に,
また上巻とは違う頼もしさを感じる反面,まだまだ食い気が優先と,
そんな大人と子供のアンバランスさが,自然とほほえましくなります.
また,とある騒動の最中,父が『父』として『息子』に語った言葉には,
ずっと好きになれなかった父を,少年がはじめて尊敬できた瞬間のようで,
それまでの父の姿とも相まって,とても強く印象に残る場面になっています.
ラストは,ややぼやけてフェイドアウトしていく感じなのですが,
それが逆に,多くのの経験をした少年や家族のこれからを想像でき,
読みおえてからも少しの間,心地のいい余韻を楽しむことができます.
ほかでは,上下巻,それぞれの舞台をあらわした鮮やかな表紙も○です.