私自身は、まだサイパンやテニアンに行ったことはないが、この本を読んで一度は行きたくなった。というのは、この本にはサイパン戦争やテニアン戦争のたくさんの戦跡が、鮮明な多数の写真で紹介されているからだ。
著者によると、サイパンなどには、このような戦跡を保存する役所があって、この戦跡は大切に保存されているという。
なるほど、この本にはサイパンなどの数々の戦跡、戦車・大砲・魚雷・トーチカ・防空壕などなどが、いろいろな角度からの写真で紹介されている。とくに、サイパン島の野戦病院跡のその鮮明な写真を見ていると、確かに戦死者の声が聞こえてくるようだ。写真では、日本兵の鉄兜や遺骨までもが写されている。南の島には、まだ沢山の戦死者の遺骨が残されているとは知っていたが、ここにもあるということか。
私は集団自決が起こったのは、沖縄やサイパンだけかと思っていたが、ここではテニアン島での集団自決現場「テニアン・スーサイドクリフ」が紹介されている。この地でも数千人規模の住民の集団自決が起きたという。
この本では、もちろん、サイパン戦などの日本軍の戦跡だけでなく、米軍の戦跡や先住民たちの戦争犠牲者を追悼する記念碑なども多数紹介されている。そして、当時これらの島に在住した、沖縄や朝鮮半島の人々の犠牲までていねいに語られている。たぶん、これほど客観的に戦争を伝えているガイド本は少ないのではないか。
戦後60数年経って、今では戦争体験者の声も少なくなっているが、このようなリアルな戦跡を見せられると、戦争というものの実態が具体的に分かってくるような気がする。これらの島々の戦跡は、貴重なものかもしれない。ぜひとも大切に保存していだくよう希望する。
この本は、数百枚の戦跡の写真が掲載されており、これらの島々に行かなくても戦争の跡が分かるような気がするが、一度は訪ねてみる場所かもしれない。そのためにはとても参考になるガイド本である。