本書は、サイバー攻撃を行うハッカー集団を突き止めていくバーレットという青年の物語を通して、現代におけるハッカーの姿を浮き彫りにするノンフィクションである。
本書の主人公バーネットは、もともと失語症であったが小学校6年の頃、父が持ち帰ったパソコンを使って独学でコンピュータプログラムを学び、高校生でIRCのホストを務める会社を立ち上げ、DDoS攻撃を受けたことからその対処法を学び、セキュリティ会社に就職。そこで腕を磨き、ひょんなことからインターネットを使ったスポーツ賭博の会社ベットクリスを救ったこときっかけに、サイバー攻撃を行うグループを突き止めていく。
同時に、ベットクリスがアメリカマフィアの資金源であることがわかり、自身が設立したプロレキシック社を離れる。
この後舞台をロシアに移し、英国サイバー犯罪対策庁によるハッカー集団の摘発というまるで映画のワンシーンのようなストーリーが展開する。
詳細は本書を読んでほしいが、世界はまさにサイバー戦争といってもいい状況になっていることに、恐怖さえ覚える。
そして、その攻撃者たちも20歳前後の若者たちであることにニ重の驚きを感じる。
最終章に本書の主人公であるバーレットが、脆弱性を抱えている今のインターネットの仕組自体を作り変える必要があると言及しているのは興味深い。
いずれにせよ、政府にしろ企業にしろ(そして個人も)日本のセキュリティ意識は、いささか心もとない。
加えて、個人へのセキュリティへの助言といえば、ウイルスソフトを入れろとか常に最新版のOSやソフトを入れろとかいう程度のものである。
このあたりは、どうもソフトメーカーの商売意識が見え隠れする。
本書に見られるようなハッカーたちのボットネット攻撃やトロイの木馬、DDoS攻撃などの具体的な手口と発見および対処方法などのより具体的な啓発がまだまだ物足りないと感じる。
改めて、セキュリティの大切さを痛感させられる。