竹内結子が大胆でいて繊細なヨーコを見事に演じ、綺麗でカッコイイという評をずいぶん目にしました。ヨーコという女性がカッコイイのであって役に恵まれたという側面もあるように思いますが、役者としての成長は感じました。特に、愛人である薫の父親から縁切の話のあと、ふと見せる涙のシーンは、とってもよかったです。
それよりなにより、小4の薫役の松本花奈が素晴らしい!! 彼女の演技、特に視線が素晴らしかった。20年後の30歳になった薫の回想という設定で、この小4の薫の視点で物語が語られるわけですから、もう映画の出来が保障されたようなもんです。
買い物シーンのヨーコの大雑把っぷりの小気味よさ。大好きなお菓子ムギチョコを買うところで、2種類の袋を差し出されてどっち買う? と促されても、もごもごしてしまう薫をよそにヨーコはポイポイと袋を籠に放り込んでしまう。それを見ている薫のびっくりした表情が本当に素晴らしい。
また、カレー皿にチョコを盛って「ほれ、エサだ」と弟に渡すヨーコを不思議な目で見つめる複雑な表情とか。母親はこういうことはしない...ということを前提とすれば、これは、子供にとっては夢のようなことなんだよね。
『自転車に乗れると人生変わるよ、大げさじゃなくて本当だから』『嫌いなものを好きになるより、好きなものを嫌いになるほうが難しい』とヨーコのさりげないセリフが心にしみます。こういう何でもないような、でも後から振り返ると人生の大きなポイントになっているような、そんな話っていいよね。
ほんの20年前の話なのに、こんなに懐かしい風景があったっけ。コーラ(プルタブ式250ml缶)、パックマン、ガンプラ...。車もスカイラインとかスバルとか...。最近多い高度成長期を舞台にしたノスタルジー物と違って、ほんのちょっと前80年台が舞台ってのは新鮮でした。そして、もっともっと昔、初めて自転車に乗れた時の、あの『ふわっ』とした感じを思い出しました。