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存在からして否定された事実を背負って生きていかなければならない孤児達に、「人の役に立つ存在になれ」と教育する孤児院長ラーチ。救いのない、哀しいエピソードの数々で構成されているのにこの作品が感動を呼ぶのは、孤児ホーマーがこの教えを実践しているから。
盛り沢山のストーリー、深いテーマ、さらに社会に対する問題提議(中絶に関して)を持つこの作品は、作家アーヴィングの一つの到達点だと思います。ただ、堕胎医療の描写は細かすぎて、私にはグロテスクでした。しかし、この偏執性もアーヴィングの特徴でしょう。
メイン州の田舎にあるセント・クラウズ孤児院。そこには望まぬ妊娠をした女性たちが孤児を残していったり、非合法の堕胎=中絶を施されています。固い信念で堕胎を行うラーチ医師に、いつしか助手となる"もらわれなかった孤児"ホーマー。しかし、ある日現れた若いカップルに惹かれ、ホーマーは師であり父であるラーチから離れていきます。
初めて孤児院から出た彼は、愛や苦悩、後ろめたさという世界のルールに触れていくのです。
堕胎、近親相姦などの重いアイテムを、数閏年に渡るラーチとホーマーの半生で描く本作は、アーヴィングらしい重厚な小説ですが、同時にさまざまなエピソードがどんどんページを進めてくれる、エンターテイメント性も高い作品だと思います。
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