「擬態うつ病」「それはうつ病ではありません」の林公一氏の
最新作。啓蒙活動によって病気として「市民権」を得たうつ病
をはじめとして、アスペルガー、アルコール依存症、PTSDの例を
引用し、バブルと化した現代の精神病について議論しています。
啓蒙活動で精神病が市民権持ったため、半知半解の理解で精神
疾患が語られ、ノーマルの範囲の人間を医学的治療の対象にする
「アブノーマライゼーション」が横行しているとの見解には
大きく同意します。うつ病関連の本を読めば読むほど、DSM-IVに
よる診断では新型うつ病の蔓延を阻止しがたく、客観的な指標
も少ない診断においては、自己申告を優先せざるを得ないし、
精神クリニックの増加は、それを助長しかねないと思います。
筆者の心配は、上記状況が拡大するとやがて大多数の人から
精神医学が信頼を失う「ネオ反精神医学」が台頭し、一方で
医学の進歩は失恋などの「人間としての通常の落ち込み」さえも
解決できるようになり、やがて病気と正常の境界すら溶解させて
本当に必要な人に医療や配慮がいきわたらなくなるというもので、
大変説得力がありました。
以前、私が聴講したメンタルヘルス研修では、メンタル対象者が
どの病気か(従来型うつ、新型うつ、適応障害、発達障害・・)を
を適切に判断することが重要で、対応を誤ると長引く・・との
話を聞きましたが、診断するのは医者なので我々としてはどう
すればいいのか疑問でした。職場の理解も重要ですが、診断書の
インパクトは決定力があります。その意味でも精神医学会には現状
を内省してもらい「サイコバブル」を食い止めて貰いたいものです。