作品中に出てくる著者の少年時代。憲法を授業で習い、
「そうか、国民主権か、じゃあ「象徴」の天皇は国民の意志でどうにでもなるんだ」。
・・・僕も自分が小学生の頃、社会の授業で全く同じ感想を持ちました。
小林氏が本書で書いているような天皇観を持つようになったのは、長じてから、
というより社会人になってから随分な時間が経過した後だったと記憶します。
それくらい教育の「刷り込み」効果は強い。
国民を思う無私の祈り、不可侵の神聖なるものとして国体の中心・拠り所として連綿と
続いてきた皇室。「天皇制」や「天皇家」といった天皇を相対化する語彙がいかに本質を
見ていないか、のような基礎的な内容からはじまって逐一、「絶対的存在」としての天皇に
迫った快著。
・・・と、言うか、本来義務教育で国民が遍く授けられて当然の知識、と思いますが、
本書を読んで「開眼」したひとが多ければ多いほど日本の教育はオカシイ、ということになる。
個人的にはひさびさに胸が熱くなりました。
著者は「戦争論」では敢えて天皇に深く言及せず、その時の
思いを本書にこめたそうですが、その言葉通りの力作と思います。