「幽霊屋敷もの」です。
旧校舎に憑いた霊を祓うために、拝み屋が何人も呼ばれ……というふうに、物語が進行します。
普通なら、ここで、次々と霊による怪異が彼らを苦しめる、ということになるのですが。
何も起こりません。少なくとも、霊による災難は何も起こらないのです。いくつかの不気味なことは、すべて説明のつくことばかり。
という、拍子抜けするような展開で、にもかかわらず……。
むちゃくちゃ怖いのです。
ここに作者の真骨頂を見ることができます。
つまり。
幽霊さえ出せば怖い、のではない。
怖いと感じることを、怖いように描くから怖いのだ。
そんなふうに考えたのではないのでしょうか。
あえて幽霊を出さないことにこだわり、そして、みごとにそれに成功しています。
幽霊さえ出せばいい、という凡百の怪談より、はるかに怖い怪談世界を出現させています。
作者のまだかけだしの頃の意気込みと力量を、十分に堪能できる一作です。