大岡昇平・中島常幸を敬愛し、こよなくゴルフを愛好するアマチュアである1940年生まれの社会学者(私生活主義研究等)が、1992年に刊行した本。もともと英国でコミュニティやプレーヤーの自律した連合体を基盤に発展し、有機的な自然の中で求道心を涵養し、健康にも良いスポーツであるゴルフは、米国での発展の中でマスコミと結びつき、商業主義の傾向をも示し始める。その傾向は戦後日本で強化される。戦後日本ではゴルフ場数とその利用者数を目安にすると、重化学工業期の第一次ブーム(1958〜62年、マスコミの影響、特権階級のスポーツ、戦争忌避)、私生活主義化、日本経済の知識集約化を背景とする第二次ブーム(1971〜74年、AON時代、女性の活躍、国際化)、ハイテク化・マネーゲーム化を背景とする第三次ブーム(1986年〜、利用者数の増加)が指摘できる。この第三期に、日本のゴルフはスポーツとして成熟していく反面で、ゴルフ場建設による乱開発・環境破壊(国内・国外)、預託金会員制によるキャピタル・ゲイン問題、高くて使いづらいゴルフ場の問題、リクルート汚職をもひき起こし、一部ではゴルフというスポーツ自体の否定論すら生じた。それに対して著者は、有機的自然・人間関係重視のアマチュア・ゴルファーの立場から、政・官・財複合体と癒着し金儲けの単なる手段と化したゴルフ利権を批判し、生活文化の一端・スポーツとしてのゴルフを守ろうとしている。そのために著者は、ゴルフ場をこれ以上増やさないという前提の中でのミュニシパル・コースの増加、里山と共生するゴルフコースの設計、労働条件の改善等を主張している。基本的にIII以外は殆どが事実の列挙であり、一応欧米日のゴルフ史を扱ってはいるが、私にはあまり面白くなかった。ただ、ゴルフに対する著者の熱い思いは伝わってくる。