27という豊富な事例で、ゴミ分別の現状を報告する。本書を読んでいて感じるのは、ゴミ処理の正解は日進月歩で変わっている、ということだ。「夢のリサイクル」と言われたRDFの大失敗はよく知られているが、そもそも分別の是非から本書は疑問を呈している。そして、住民の協力に負う所がきわめて多いということ。ゴミ施設の立地も誰かが善意でいいという人がいないとだめだし、搬入後、施設での選別があるとは言え、ゴミ出し時にきちんと分別されないと処理は立ちゆかない。東京・府中市のダストボックス廃止にも示されるとおり、ゴミ問題とは即ち住民のモラルの問題であることを痛感する。
本書では、良くも悪くも多摩地区の先進ぶりが目立つ。ゴミを人質に多摩の自治体から何億も金を引き出す、日の出町に出すゴミを減らそうと、各自治体もやっきになってリサイクル率は全国平均の倍になった。他市のゴミを入れたくないと30年前から頑張って、結局他市から爪弾きにされた小金井市の轍を踏むまいと多摩地区の各自治体も住民もゴミへの意識が相当高まっていると感じた。進みすぎて町田のように過剰な環境リスクの主張もするところがあるようだが。
しっかりと実例を紹介した後、実例34分別、自宅堆肥化など過剰な住民負担は、住民協力で成り立つゴミ処理へのモラル低下を招くし、効果も見込めない。政策の費用対効果分析、住民と自治体の協働を訴える本書の結論は深く同意できる。