ユニバーサル版「フランケンシュタイン」、「フランケンシュタインの花嫁」の監督、ジェームズ・ホエール晩年の私生活を題材とした映画です。
同性愛老人のノンケ青年に対するセクハラブラックコメディー風の作りですが、その実ハリウッド内幕物(ホエール以外でもコリン・クライヴ、ボリス・カーロフ、エルザ・ランチェスター、そしてジョージ・キューカーのそっくりさんが登場)でもあり、老いらくの恋、老いへの恐れ、戦争で負った自責の念等多種多様な人生のテーマが見事に描かれた作品です。
ビル・コンドン監督自身に依る脚本がアカデミー賞を得たのも納得です。
挿入される「フランケンシュタインの花嫁」の撮影風景や第一次大戦の塹壕戦、若き日のホエール監督のご乱交を描写した夜のプールのシーンは幻想的で美しいのですが、現実と妄想の区別が難しくなっているホエールの老いと病を暗示する怖い場面でも有るのです。
終盤は老監督と若い庭師が年齢と嗜好を超えた友情を結べるかに見せかけてぶち壊しながら、かつとても美しいシーンが有り必見です。
シニカルでお茶目な美老年「ホエール監督」を演ずるイアン・マッケランが素晴らしいの一言。
一時代を築いたダンディで知的なホエールが知略・金・哀願等あらゆる手管を用いて庭師の服を脱がそうとする様子をユーモアと哀しみたっぷりに演じています。
役柄によってカメレオンの様に変わる名優ですが、本作はかなり地に近いのでは?と思わせ、作品のメタな雰囲気に拍車を掛けています。
東欧出身で頑固なカソリック信者で、主人ホエールの地獄行きを確信しながらも献身的で善意溢れる家政婦を演じるリン・レッドグレイブが、有名人への興味と経済的事情から老監督の絵のモデルになる庭師をブレンダン・フレーザーが好演。彼の髪型すら暗示的です。
題材が題材だけに毒も強く、拒絶反応を示す方もいらっしゃるとは思いますが嵌ると堪らない作品です。
大推薦です。