待ちに待った大槻ケンヂの短編小説集。傑作「くるぐる使い」以来か。
近年はエッセイの他に、自身のバンド体験を基にした青春小説の執筆が多かったが、大槻ケンヂという作家の真骨頂こそ、各種サブカルチャー作品に大きな影響を与えた「新興宗教オモイデ教」「ステーシー」などのSF・ホラー・幻想・オカルトを取り扱った作品群であろう。
この短編集では、それらの要素に加え、近作で培った青春小説の技法を取り入れることにも成功している。
江戸川乱歩に地球外生物、妖精にアカシックレコードに旧日本軍秘密兵器にラップ現象といった、オーケンの得意な知識を「ゴスロリ」というテーマに絡めるアイディアと構成は、本当に巧い。個人的には長年エッセイで紹介・研究していた、シャーロック・ホームズが使った幻の日本伝来格闘技「バリツ」を作品として昇華していたのは読んでいて楽しかった。
自身のバンド・特撮やソロ活動での楽曲世界観とリンクした作品や、「ステーシー」「ロッキン・ホース・バレリーナ」といった他作品と直結した掌編も収録されており、オーケンファンなら絶対に買いの一冊。無論、オーケンファンじゃない方々にもオススメ。