年とともに身体のあちこちに不調をきたし、精神的にもつらくなったときに、ふとしたことからこの本に出会いました。それ以後私には座右の書の一つとなっています。それどころか、本書(原書)のオーディオ・ブックまで買い求め、折りに触れて聴いています。著者ウィリアム・ハート本人が原書をとても落ち着いた声で読んでいて、その声もとてもすばらしく、英語はよくわからなくても聴くだけで心が落ち着いてきます。
本書で何よりも感激したのは、仏の教えというものがよくわかったという点です。日本にはお寺がたくさんあるけれど、葬式仏教と言われるように、ブッダの教え(つまりは仏教)について私たちの多くは実のところ何も知らないというのが実情ではないでしょうか。本書にはブッダが言ったといわれる言葉が数多く引用されており、ブッダが実際に何を考えていたのか、どこまで考えていたのかが本当によくわかります。しかもブッダの教えはとても論理的であって、超越的なところなどまったくなく、宗教らしくないことには驚きもし目もひらかれました。
本書にも書かれているように、ヴィパッサナー瞑想は実際に自分で体験しなければ意味ないものでしょうし、本当は日本ヴィパッサナー協会が開いているコースに参加すればいいのでしょう。でもそれもできない気まぐれ瞑想者の私には、読むだけで心が静まる本書は毎日の支えになっています。翻訳もとても読みやすくすばらしいです。