テレビCMのルビー(レニー・ゼルウィガー:この役でアカデミー助演女優賞受賞)の「男たちが雨を...」という血を吐くような迫力のセリフで「絶対買い」と決めた1本。ここ何十年で最高と評価される南北戦争の社会を描いた原作を映画化した。
戦闘シーン(クレーターの戦い、兵士の密度に圧倒されます)では度肝を抜かれるが、本編はエイダ(ニコール・キッドマン)やルビーらの、戦時下の故郷での生活が描かれる。お嬢様育ちのエイダが慣れない畑仕事に、田舎者丸出しのルビーに無遠慮に悪態を突き、ルビーも負けずに言い返す(様が楽しい)が、次第に友情を深めていく。義勇兵の逃亡兵狩りと、かくまった家族への暴虐や北軍兵士の略奪などの当時の苦難が鮮烈に描かれる。インマン(ジュードロウ)が途中立ち寄る南軍側の母子家庭のセーラの演技と美しさが際立っているが、ナタリー・ポートマンが演じているようにワキ役にも豪華なキャストが。
原作はギリシア叙事詩オデッセイアの旅物語を意識したという。一瞬のきらめきのような恋愛に命を掛けて、愛する人の待つコールドマウンテンへの500キロにおよぶインマンの壮大な旅が描かれる。ラストでエイダが「あなたの長い旅は報われたのよ」とつぶやくシーンでは、娘の顔に一瞬インマンの面影を見たような気がして、涙があふれた。
ブレンダン・グリーソンやホワイト・ストライプスのジャックホワイトらのフォーク音楽が秀逸、グリーソンのフィドル演奏(逃亡兵狩りの義勇兵の前で演奏するシーンは泣ける)は必見。ニコールキッドマンが自ら弾くピアノなど、音楽でも楽しめるシーンが多い。