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著者の立場からみて、コーポレート・ファイナンスは入門書を書くのがかなり難しい分野のひとつではないかと思う。
第一に、説明の順序が難しい。前のほうで書いてあることを十分に理解するためには、実は後ろのほうで書かれている知識が必要になる。かといって前後を入れ替えると、また同様の問題が別のところで発生するといった具合に、パズルを解いているような作業になる。
第二に、本当にわかりやすい説明をしようと思えば紙幅がいくらあっても足りない。必要不可欠の入門的内容を新書サイズにおさめるのは至難の業である。ある程度のレベルの読者に対しては、分厚いものを書けば冗長になりかねないし、本当の初心者に対しては、コンパクトにおさめてしまうと思わぬ誤読を招いてしまう。
ところが、本書はこれらのジレンマやトレード・オフを、従来のテキストよりも上手く解決しており、おそらく配列とトピック絞り込みについて最善策に最も近い位置にあるのだと感じる。まさに最初に読むべき本として、本当の意味での入門書に仕上がっている。現時点で従来の類書のどれよりも素晴らしいと考えます。
本書はファイナンスの「はいりやすい」入り口であるから、これを読んだあとに分厚い初級テキスト(Ross=Westerfield=Jaffeの「コーポレート・ファイナンスの原理」やBrealy=Myersの「コーポレート・ファイナンス」など)に進むのがよいと思われます。
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