私は6版を5回ほど通読し、自分なりに理解しにくいところなどにラインを引いてあるが、それらの多くについて、7版はよりわかりやすい日本語訳と洗練された論理展開にアップデートされている。
第6版のときもそうだったが、この本は基本的に1人の人物によって翻訳されているようだ。これだけの広範囲にわたる、多くの含意が表現された本を一人で、こなれた日本語に変換するのは、これは訳者の言うとおり「地獄のような」作業だったと推察するし、また、この訳者のファイナンスについての膨大な知識を読むものに感じさせることが出来る。
6版同様、膨大な量ではあるが、初学者が真剣に取り組むに値する本である。特に、非経済系学部出身で、経済学や経営学の素養に欠ける読者は何度も挫折しかけるかもしれないが、そこを踏ん張って一度は全文を読み通して欲しい。
本書に用いられる数学は、それほど高度なものではない。統計学も一部でてくるが、筋金入りの文系出身で数学を避けて通ってきたひとでも、社会人向けの数学手引書を手元におけば、十分に1人で解決できる程度である。
しかし、私が読んだ6版ではそうだったのだが、この本が読者に対して暗黙の前提としている、経済や経営の常識があり、この部分の説明がないために、なかなか理解しにくい箇所もあった。著者も、訳者も、校正者も、ほぼ全員がファイナンス関連の人達なので、こういう事が起こるのだと思うが、こういった箇所がなかなか私には難所であった。私がチェックした限りでは、7版は随分と改善されていると思う。