落合というと、とかく個人主義的なイメージばかりが強調されがちだが、実は現役時代の落合は、投手がピンチに陥ればすかさずアドバイスをしにマウンドに駆け寄ったり、同じチームの打者がスランプに陥っていれば相談に乗ったりと、コーチあるいは兄貴分としても重要な働きをしていた。結果、「落合効果」という言葉が生まれたほどだ。
本書では、その落合の名コーチとしての側面を垣間見ることができる。あくまで個を伸ばすことに主眼を置き、裏方に徹する姿勢や、短所を指摘するのではなく長所を伸ばすことに注力する方針、手取り足取りのやり方を否定し、選手の自助努力を促す姿勢などにマネジャーが学ぶことは多いだろう。また、個人が組織の中でいかにして付加価値を高め、能力を発揮していくべきかという点にも言及している。チームを何度も優勝に導き、自らも2年連続三冠王をはじめとする偉業を成し遂げた落合だけに、その言葉には説得力がある。
成果主義、雇用流動化の時代には、これまでのようなトップダウン式の教育・指導方法は通用しない。本書は、現在注目を集めるコーチングの基本を説いた本として、また上司と部下双方の視点を示した本として、意義のある1冊である。(土井英司)
登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
41 人中、39人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
個性の中にある普遍性,
By
レビュー対象商品: コーチング―言葉と信念の魔術 (単行本)
落合氏は三度も三冠王を獲得し、「俺流」とも言われるくらいの個性的な人物です。しかし、彼の書く文章は実に丁寧で、常識的で、 なるほどと思わされる事が少なくない。 ページが進むにつれて、彼は合理的に物事を考えて実行するタイプの 人だなと理解できます。例えば、毎年のキャンプで落合氏がいつ バッティング練習に入るのかが恒例の話題になっていましたが、 取り組んだ時の話。ファウルになる打球をホームランにできないかと かかわらず、その意見や考え方には普遍性・合理性が詰まっています。
27 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「コーチング」を野球を例にわかりやすく解説,
By
レビュー対象商品: コーチング―言葉と信念の魔術 (単行本)
題名のとおり「コーチング」という育成の方法論を、中日ドラゴンズの監督である落合博満氏が野球での経験を基に書いている本です。コーチングは「教える側からは先んじては教えない」「教えられる側=実践する当人だから、教えられる側の感覚が当然優先する」「とにかく相手をよく観察し、そのデータを蓄積させた上でようやく指導」というのが大雑把な方法論なんですが、それを中日で実践して優勝に導いたことがよくわかる本です。 人は相手に教えるとなると、どうしてもあれこれと口酸っぱく言ってしまうことを教えることと思いがちですが、教えられる側にしてみれば、それは教える当人の経験則にすぎず、それが自分が築いてきた経験則と合うとも限らず、特に理屈にしづらい本人にしかわかりにくい感覚的な部分では少なからず混乱をきたします。 コーチングというのは、まず教えられる側ありき。 教えられる側が練習を重ね、自分で問題点を発見するよう努める。(または教える側は、教えられる側に問いかけ形式で本人に問題点を探させる。) コーチは自分からは口を出さず、とにかく観察することで、教えられる側に何が足りないのか、どこを直すべきかを見つけた上でようやく指導に入るという、あくまで「客観的な視点」にすぎないスタンスになり、教育者というよりは相談者に近い立場になります。 そういった本来なら教育に関して非常に理にかなってることではあるにも関わらず、実際にはなかなかできない教育方法を、プロ野球という例を交えてわかりやすく語っている本です。 勿論、教えられる側に経験や考えるだけの自覚が不足している場合にはこの方法論は一概には当てはまりませんが、プロとしてまたは社会人として既に自己責任で行動できる立場の人間であれば、知っていて損はない考えです。 テレビ等ではあまり多くを語らない落合氏しか知らない人にも、合理的で実践的な彼の考え方がよく伝わる本となっており、また仕事上などでコーチングは勉強したいが、専門書にいきなり入るには抵抗があるという方にもわかりやすい本です。
25 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「オレ流」とは自分で考え行動する姿,
By
レビュー対象商品: コーチング―言葉と信念の魔術 (単行本)
現・中日ドラゴンズ監督である落合さんの指導論です。本の中で、「コーチという仕事は教えるのではなく見ているだけでいい」と発言しています。おそらく、本人もそうであったように、「選手が自主的に取り組むことこそ上達する」と考えているのでしょう。「オレ流」という自分勝手のイメージが強い落合さんですが、この本を読んで、人一倍他人に気を配り、人一倍自分に厳しかったかよくわかりました。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー
5つ星のうち 4.0
ぶれない指針
屈指の天才打者落合さんの指導法が分かる一冊です! 「避けられるリスクを負うな」「パーフェクトに近づくためには... 続きを読む
投稿日: 14か月前 投稿者: ノエル
|
|
|
|