日本の戦国時代を舞台にしたゲームといえば,コーエーの『信長』シリーズが有名ですが,同シリーズが,一大名となって天下統一を果たすという経営者的観点を重視したものであるのに対し,この『太閤』は,経営者・支配者以外の「歴史上のその他大勢」の立場で戦国時代を生き抜くといった観点を重視したゲームです。
ゲーム中に登場する人物と親密になることでもらえる「主人公札」を取得することによって,秀吉以外の1000名以上のキャラクター(実在の大名,武将,剣豪,忍者,海賊,商人など)のプレイが可能です。
主人公である秀吉のように出世街道を歩むのもよし,剣の道や忍びの道をきわめるのもよし,海外貿易でもうけるのもよし,善人として振る舞うのも,悪逆非道に走るのもよし…,と自由度はかなり高く,職業ごとにかなりの数のエンディングが用意されています。
諸大名・商人・水軍などの勢力範囲や米・馬・鉄砲・交易品の相場などが時間の経過とともに変動することによって,ゲーム中に一個の架空の「戦国時代」が再現されており(実際の戦国時代はこんなんじゃない,といった大人げないツッコミはさておき),そのなかでプレイヤーが右往左往するといった印象です。
このように,一個人であるプレイヤーがヘマをやらかしても関係なく世界は進行するというゲームの特性と,ゲーム中に登場する「謎の老人」によるくどいほどの操作説明の充実により,最初に何をやったらいいか分からないといったシミュレーションゲームにありがちなつまづきはかなり回避できていると思います。
ことさらに難点をあげると,攻略法がわかってくると万能のキャラクターが作れてしまい,合戦などに敗北することがまずなくなってしまうこと(初心者に配慮しているとすれば,むしろ長所ですが),発生するイベントが職業によってほぼ固定されていること(特有のイベントをもつキャラクターはさほど多くはない),好みの問題だと思いますが,顔グラフィックに独特のクセがあり多少見栄えがよくないこと,などでしょうか。
またPC版との比較としては,PS2版はシナリオ・アイテム・技能札などの追加をはじめとする大幅な改良がなされているのに対し,イベントスクリプト機能がない,BBユニットがないとディスクの読み込みが多少うるさいといった問題があります。
前作IVの発展系であり,同社の『信長』や『三國志』シリーズのように新作ごとに新たにシステムを作り直すのではなく,前作を土台にして着実に質を向上させており,1個のゲームとしての完成度は極めて高くなっています。
個人的に次回作がもっとも期待されるゲームのひとつです。