タルのverve時代のアルバムは1枚しか所有していなかったので、手っ取り早く安価に全部手に入れようと、本boxを購入しました。
しかし、ちょっと後悔しています。
アウト・テイクやリハーサルなどを蒐集したボック・セット向きのアーティストとそうでないアーティストが存在すると思います。
判りやすい例で言えば、マイルス・デイビスは「向き」です。
彼にとって、スタジオでのセッションとは、実験であり探求の場であったからです。ですから、ボツになったテイクでも、いや、マイルス自身が全く吹いていないテイクであっても、創造の過程をかいま見ることができて興味深い。
同じ曲でも、全くアプローチが異なったりする。
しかし、タルにとっては(というより昔のほとんどのミュージシャンにとっては)、スタジオ・ワークはLPを制作するための作業であり、仲間たちとの気楽な演奏に過ぎなかった筈。当然、マスター・テイクとボツとの差も、単に間違っていたとかソロのできがいいとか悪いとか、そんなレベルでしかありません。
本ボックスを最初から聴いて、よほどの研究家かタルの病的なマニアで無い限り、途中で退屈するのは仕方が無いなあ、と思いました。
結論。
私のようなケチで、できるだけ少ない出費で多くの音楽を聴きたいか、もしくはマニアか研究家ではない限り、多少高くついても、自分の気に入ったオリジナル・アルバムを単体で集めた方が、音楽を楽しむという趣旨からは望ましいでしょう。
音楽は聴く物であって、所有したりパッケージを愛玩したりする物ではありません。