クヌースは、聖書の各文書の3章16節だけを比較するという思いもつかないようなことをする。科学者であるが、聖書の矛盾性や整合性などを科学的に議論するのではなく、写本の書体や装飾などの微細な美的な箇所なども執拗に探っていく。このようなスタイルは彼の教科書に通ずる。もちろん、聖書の文字やパターンから隠された意味を無理矢理に探り出そうというのではない。クヌースを知らない人や専門の宗教研究家にとっては、彼の趣味や論点はなじめないかもしれないが、最後の章(講義)のパネルディスカッションには、ミンスキーやスティール、サスマンほか、MITの人工知能研究所に携わった人たちのコメントからはMITという大学の雰囲気が分かり、面白く読めるだろう。
日本語訳には宗教研究家の注が加わっており、適時補足やクヌースの間違いを指摘している。宗教の専門書と言うよりは、クヌースという研究者のエッセイとして、いろいろ楽しめる1冊である。(村藤一雅)
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キリスト教に関する大まかな素養がないと、読みづらいところがあるかもしれませんが、作者のまじめさに加えて、コンピュータ科学の本場MITでのアカデミックな雰囲気が実によく伝わってくる内容です。
また、本の中で聖書の翻訳について考究しているくだりがあるせいか、コンピュータ関係の翻訳本にありがちな不自然な日本語がなく、書いてあることに集中して読むことができました。
多くのSE、プログラマは、雑事に溺れてしまいそうな毎日を送っていると思います。この本を読むことで、自分たちの仕事に直接繋がっている学究の徒の一側面を見て、眠っていた向学心を呼び覚まされることになると思います。
悩ましいのは、作者の他の本を次々に読みたくなってしまうことで、財布が痛むので星ひとつ落としました。
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